

米国聴覚障害・言語障害研究所(NIDCD)のデータによると、かつて全人口の約10%(約2,500万人)だった耳鳴りに悩む人の割合は、近年では約15%にまで増加しています。
さらにここ数年、私たちの生活環境におけるストレスはかつてないほど高まっており、身体的・精神的・感情的な健康に大きな負担をかけています。しかし悲しいことに、耳鳴りを抱える多くの人が「耳鳴りが人生のあらゆる側面(睡眠・仕事・メンタル)に影響を与える可能性がある」という事実に気づいていません。慢性的な耳鳴りは決して軽視できるものではなく、積み重なるストレスは日々の生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。
現時点では根治する特効薬は解明されていませんが、だからといって絶望する必要は決してありません。生活習慣を見直し、適切な対策を講じることで、耳鳴りは十分にコントロール(マネジメント)が可能です。そして適切なセルフケアを行うことは、あなたの心身の健康を劇的に改善することにもつながります。

耳鳴りの最も一般的な定義は、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」、聴神経、そして認知や記憶、感覚知覚を司る脳のネットワーク(楔前部など)にまたがる神経感覚の症状です。
「5分以上キーンと音が鳴り響く」症状が一般的ですが、それ以外にも「ゴー(地鳴り音)」「シャー(高音ヒス音)」「ブーン(低音蜂の羽音)」など、音の高さや大きさ、不快感の度合いは人によってさまざまです。
大切なのは、「耳鳴りはそれ自体が病名ではなく、何らかのサイン(症状)である」ということです。
「耳鳴りは大音量を聞き続けたことだけが原因だ」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。騒音暴露が引き金になるケースは多いものの、それ以外の根深い神経的・身体的疾患が隠れている場合もあります。放っておくと部分的聴力低下や専門的な治療が必要になることもあるため、注意が必要です。
【耳鳴りに関連する主な要因・疾患】
その他にも、耳あかの詰まり、過度なストレス、アルコール・ニコチン・カフェインの過剰摂取、睡眠不足なども耳鳴りを悪化させることが知られています。
また、200種類以上の薬物(NSAIDs/非ステロイド性抗炎症薬、一般的な抗生物質、一部の利尿薬、抗うつ薬やMAO阻害薬など)が耳鳴りの発症に関与しているとされていますが、市販薬や処方薬が耳鳴りの「主因」であると結論付ける決定的な証拠はありません。
耳鳴りは大きく分けて4つのタイプに分類されます。
他にも2つのタイプがあり、1つ目は、耳の周辺にある血管の血流変化によって心臓の脈打ちと同期して音が聞こえる「脈動性耳鳴り」。もう1つは「低周波耳鳴り(低音障害型耳鳴り)」です。後者は、ブーンという唸り音やハミングのような低音が特徴で、体内・体外のどちらから測定しても音を正確に数値化することが難しく、患者自身だけでなく専門医や言語聴覚士(オーディオロジスト)にとっても長年大きな困惑の種となっています。
風邪の引き始めや季節の変わり目、ライブに行った後などに一時的に耳鳴りが起こる程度であれば、過度に恐れる必要はありません。静かな環境を整え、耳栓などで耳を休ませることで自然に回復することが多いです。
しかし、以下のような症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科や専門のクリニックを受診しましょう。
これらは単なる耳の疲労ではなく、早期治療が必要な神経系の疾患が潜んでいるサインの可能性があります。

耳鳴りをすっきり治す決定的な方法はまだありませんが、電気や神経を使った新しい治療法、新しいお薬の開発が今まさに進んでいます。とはいえ、日常でのイライラやストレスを減らすには、耳に負担をかける習慣や環境を少しずつ整えていくのが一番効果的。専門医や聴覚のプロ(オーディオロジスト)に相談すると、こんな対策をアドバイスしてもらえるはずです。
補聴器(デジタル/アナログ)
最近の補聴器は、ゴツくて邪魔になるようなものでも、つけていて不快なものでもありません。近年の研究では、補聴器のフィッティングによって耳鳴りの不快感が和らいだという割合が最大85%にも上ることが分かっています。周囲の音量を調整するのに役立つ補聴器ですが、内耳の障害が原因の耳鳴りに対しても有効かどうかは、耳鼻科医やオーディオロジスト(聴覚の専門家)にしっかり診てもらう必要があります。
人工内耳
重度の難聴にともなう耳鳴りと診断された場合、人工内耳が検討されることもあります。ダメージを受けた内耳をスキップして電気信号で直接聴神経を刺激することで、耳鳴りをマスキング(かき消す)し、脳の神経回路の適応をサポートしてくれます。
サウンドジェネレーター(音響発生機器)
周囲のノイズを紛らわす比較的お手頃な方法で、耳鳴りのコントロールに効果を感じている人も多くいます。これはサンパウロ大学の最近の研究でも実証されたアプローチです。PCやスマホのアプリ、ウェアラブル端末などいろんなタイプがあり、かすかに聞こえるピンクノイズからリラックスできる自然音、音楽まで選べます。不眠症など睡眠に悩む人からも、音でマスキングすることで気持ちの焦りや不安が和らいだという声が届いています。
カウンセリングプログラム
耳鳴りによる精神的・メンタル的なつらさを抱えている人には、カウンセリングが力になります。耳鳴りがなぜ起きるのか、日常にどう影響しているのかを正しく知るだけでも気持ちがラクになるものです。特に認知行動療法(CBT)は、リラックス法やQOL(生活の質)を高めるチェックを通して、上手に付き合っていくコツ(対処法)を身につけるのに役立ちます。
生活習慣(食事・運動・栄養)の見直し
ココロとカラダ、そして感情のバランスを整えるうえで、食事・運動・栄養の影響はバカにできません。お酒、タバコ、カフェインを減らせていないなら、今がまさに生活習慣を見直す絶好のタイミングです。亜鉛、マグネシウム、ビタミンB12、イチョウ葉エキスといったサプリがストレス軽減に役立つという知見はあるものの、耳鳴りそのものを治す効果については、まだ臨床試験で証明されているわけではありません。
適切なイヤープロテクション(聴力保護)
症状とうまく付き合う(そしてそもそも耳鳴りを防ぐ)ために欠かせないのが、自分に合った耳栓を使うことです。EARPEACE の音楽用耳栓なら、一日中(なんなら夜通し!)つけていても快適。耳鳴り対策や予防として耳栓を活用すれば、耳への負担を減らし、将来的なダメージも防ぐことができます。
耳鳴りに関する大きな誤解の一つに、「耳鳴りがすると、そのまま完全に耳が聞こえなくなる(難聴になる)」というものがあります。たしかに難聴と耳鳴りの関係は数多く報告されていますが、思っているほど絶対にセットで起きるわけではありません。耳鳴りはあくまで一つの「症状」であって、それ自体が聴力を直接衰えさせるわけではないのです。
とはいえ、耳鳴りが毎日の生活を邪魔しないという意味ではありません。私たちのライフスタイルと健康は繊細に影響し合っているので、どちらかが崩れるともう一方にも響いてしまいます。でも、どれだけイライラさせられる症状であっても、耳鳴りは「コントロールできるもの」です。完全に治すのは難しくても、状態を受け入れて上手に付き合っていく工夫をすることで、毎日の暮らしやすさや幸福感が向上するはずです。
プロの音響エンジニア&ミュージシャンがEARPEACE を選ぶ理由 | 特許取得の技術革新が実現する「妥協なき音質」と「クリアな遮音」
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