ライブはどれほど音が大きいか〜ミュージシャン、観客いずれも耳栓が必要です
こんにちは!本日もおつかれさまです。
以下は、2017年12月1日にtheskinny.co.ukに掲載されたものです。
『タラ・ブラッシュによる特集記事』
8月にBlanck Massのライブを見に行ったのですが、まさにラウドノイズ!耳栓をしていないと耳が痛くなるほどでした。午後、向かいにあるオフィスまでサウンドチェックの様子が聞こえてきて、まるで小型ジェット機が飛び立つような音でした。
そして、これだけ大音量のライブなのに、耳栓をしていない人たちがたくさんいるのを見て大変な衝撃を受けました。そう、思わずライブそのものより観客の耳ばかりを見てしまいましたが、そのくらい驚いたのです。
EarPeaceのCEOであるジェイ・クラーク氏は、「ある特定の環境がどれだけ耳にとって危険であるかを、みんな知らないだけなのです」と語っています。聴覚の健康に気を配る重要性については、十分な教育がなされていないようです。
難聴や、耳鳴りのような症状を発すると、場合によっては回復不可能になります。音楽を聴いたり、会話の際に影響を与えるだけでなく、睡眠不足や不安、抑うつなどの心理的な問題にもつながる可能性があり、そのくらい深刻な問題なのです。
【どのくらいの音量からうるさいと感じるか?】
では、どのような場合に音が大きすぎると感じるのでしょうか。クラーク氏は、「dB(デシベル)レベルが85を超える環境では、保護が必要」と説明しています。
実際にはどういうことなのか、英国耳鳴り協会のPlug'emを見ると、安全でなくなるまでのデシベルレベルと最大暴露時間が、わかりやすい尺度で説明されています。
85dBは、キッチンミキサー音を8時間聞くのと同じです。112dBのロックバンドのライブは、わずか66秒聞いただけで耳にダメージを与えます。実際のライブはさらに長時間続きます。それに、112dBはあくまで平均値ですから、当然もっと大きい音にもなります。Blanck Massのライブは間違いなくそうでした。
クラーク氏は、EarPeaceを始めるきっかけについて、「トリニダードのカーニバルで、スピーカーに改造された車両の横で3日間踊ったら、鼓膜が大打撃を受けてボロボロになってしまいました」と語っています。
「そしてビーチで療養していると、耳鳴りが波の音より大きいことに気づきました。ガールフレンドに、よくあるフォーム状の耳栓より優れた解決策がきっとあるはずだと伝えました。(フォーム状耳栓の)音質の悪さ、不快感、扱いにくさ、まだ35歳なのに見た目が老人のようなることにも嫌気がさしていました。そこで生まれたのが、EarPeaceのアイデアです。もっと良い耳栓が必要だったのです。」
その後2年にわたる長いリサーチ期間を経て、EarPeaceは、2010年のSXSW(サウスバイサウスウェスト)で発表されました。
クラーク氏は続けて、「ブランドのメッセージは常にとてもシンプルで、『EarPeaceを装着すると、聞こえも気分もよくなります』というものです。より良い体験につながらないなら、使う意味がないと思います」と言います。
EarPeaceは、約20ポンド(約3,000円)と非常に手頃な価格で、音のレベルに応じて3つのフィルターを使い分けることができます。
また、Help Musicians UKの健康福祉アシスタントであるエイデン・カリー氏は、「騒音を減衰する耳栓は、ライブの体験をより良いものにしてくれます」と教えてくれました。
「例えば、ライブ会場でサウンドエンジニアがドラムとベースの音量を上げ続け、ボーカルの音がかすんでしまったとします。適切な聴覚保護具は、音楽を構成するすべての要素を聞くことができるのでそのようなことも生じにくくなります。」
さらに、「耳栓を装着すると、最初は少し変だと感じるかもしれません。でも驚かないように。ライブハウスやクラブで演奏する際にも、必ず耳栓を持っていくようにしましょう!」と述べています。
【音楽家のための聴覚健康法】
ミュージシャンやDJは、毎晩といっていいほど不健康な音量の騒音にさらされており、聴力を損なった場合、収入の損失にもつながります。観客と同様に耳を保護することは不可欠です。
2012年、Grimes(グライムス)は難聴と耳鳴りを理由にライブをキャンセルしました。コールドプレイのクリス・マーティンは、20年近く耳鳴りに悩まされていますが、耳鳴りと共存することを学びました。
カリー氏は、Help Musicians UKが提供する「Musicians Hearing Scheme」について、「2016年8月に開始し、これまでに約2,500人のミュージシャンが、専門家のアドバイスや聴覚保護具を利用できるようになりました」と語っています。
「2014年に、イギリス中のプロの音楽家を対象に調査を行ったところ、ほぼ半数(47%)がキャリアの途上で聴覚に問題が生じたと報告しました。そのことに驚いて、今度は2015年4月にミュージシャンの聴覚に特化した別の調査を実施しました。
結果は驚くべきもので、対象ミュージシャンのほぼ6割(59.5%)が難聴を経験、もしくは経験したことがあるかもしれないと答え、そのうち78%が要因としてミュージシャンとしての仕事を挙げています。また、81%の回答者が聴覚保護具を使用すべきと考えているにもかかわらず、実際に使用したことがある人は67%にとどまりました。」
このように、英国の音楽業界では難聴への理解度が高くはなく、専門家のアドバイスを受けたり、品質の良い聴覚保護具を手に入れることに対してギャップがあることが明らかになりました。
そこで私たちは、Musicians' Hearing ServicesとMusicians' Unionと協力し、「Musicians' Hearing Health Scheme」を立ち上げるに至ったのです。この制度は、プロのミュージシャン、DJ、サウンドエンジニア、プロデューサー、音楽教師(この場合、プロとは収入の50%以上を音楽から得ていることを意味します)を対象としており、40ポンドの会費で、専門家による聴覚の評価とオーダーメイド耳栓を利用することが可能になります。
8月のBlanck Massのライブで衝撃を受けて以来、その他のライブに何度も足を運びましたが、耳栓をしていない観客がいかに多いか、いまだに納得しがたいものがあります。
もし日常的に大きな音にさらされているなら、必ず聴覚保護具を着用する必要があります。ライブや練習時に耳が痛くなった場合、適切な耳栓を着用しましょう。
この記事を書く前の晩のこと、グラスゴーのライブハウスで、Run The Jewels(ラン・ザ・ジュエルズ)を観たのですが、うっかり耳栓を忘れてしまいました。幸い会場のバーでフォーム状の耳栓を無料配布していたので、助かりました。理想的な耳栓ではないかもしれませんが、このようにライブハウスでは耳栓が用意されていることが多く、大音量に悩まされることはないでしょう。
耳を大切にしましょう!耳栓は見た目がカッコ悪くなると思うかもしれませんが、だとしても常に耳の健康に気を配る必要があるのです。
以上です。EarPeaceのように装着しても外から見えにくく目立たない耳栓もあります。EarPeace MUSICはこちら!
ライブでも楽器の練習をするときにも、適切に耳を守りましょう!