道なき道をゆく喜び〜親切な地元の人たちやバイク仲間との出会い
こんにちは。本日もおつかれさまです。
本日は、アウトドアとバイクを愛し、未踏の地を冒険するMeneenjaによるエキサイティングな体験記をお届けします。
フリーランスのグラフィックデザイナーであるMeneenjaは、バイクで日本中を走りつつ旅の話を書いたり、動画をシェアしたりしています。
美しい写真の数々とともに、どうぞお楽しみください!
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この度、世にも美しいカシミール地方をバイクに乗って27日間、幸運にもカシミール地方の最奥地を訪れることができました。
カシミール人ですらその多くがまだ足を踏み入れたことのない土地があり、グレスバレー(Gurez Valley : 海抜約2,400m、約8.5kmに渡る渓谷)もその一つ。カシミールの中でも最も美しい場所の一つです。
きらめくカシミールの高山の大きな湖を7日間かけてトレッキングしていた時のこと、グレス出身のトレッキングガイドは、何度もこの谷の素晴らしさを語ってくれました。
渓谷を流れるエメラルドグリーン色のキシェンガンガ川、両側に建つ趣ある小さな村々、東にそびえる巨大なハバ・カトゥーン(写真のピラミッド型の山)、そして北側には、決して友好的とは言いがたい国が隣接していることなど。
グレスは、カシミール地方の中でも、地元民がインド軍と良好な関係を築いている数少ない地域のひとつ。今回のバイク旅行のプランは、ほとんどが地元の人たちに勧められたもので、グレスは訪れたい場所リストのトップにありました。
始めに、スリナガルで2、3日休んだ後テントを片付け、グレスへキャンプをしに行くことにしました。
グレスはスリナガルの北側に位置し、スリナガルから向かうとグレス最初の村となるダワールまで140km、所要時間5〜6時間とそれほど遠くはありません。
バンディポラから曲がりくねった道が始まり、標高3,500mのラズダン峠までは路面は良好、そこから先は未舗装の道と舗装された道が混在しています。
そしてダワールに到着すると、道路に別れを告げることになります。午後2時頃に到着し、空腹で喉が渇いていたので、村人にレストランはどこかと尋ねると、村中で一番小さなレストランに案内してくれました。
老紳士が2人で切り盛りしていて、ダワールの隠れた名店のようです。カシミール料理のコース料理のワズワンが出てくると、空腹のあまり数分で食べ切ってしまい、それからキャンプ場を探しに出かけました。
ダワールを越えて走ると、遠くに優美で巨大なハバ・カトゥーンが見えてきました。ピラミッドのような姿が非常に美しく、数々の伝説を生み出している山です。
地元の人たちが、この先へ進む前にハバ・カトゥーンの泉に行ってみてはどうかと言うので、アチョーラ村郊外にある山の麓へと向かいました。
その湧き水は、今まで味わったことのないような甘さで、薬効があることでも知られています。一人で走っていて注目されていたのか、地元の人たちがたくさん話しかけてきました。
皆できる限り協力を申し出てくれたし、何かあった時のためにと電話番号まで教えてくれてとても親切でした。カシミール地方で出会った人たちの中でも、グレスの人たちは断然、フレンドリーです!
そして夜も更けてくると、ダワールのキャンプ場に泊まるよう勧められました。
ダワールのキャンプ場に向かう途中、一晩キャンプしていたハッチバックの車に乗った男たちに出会い、仲間に入れてくれるというので、快く承諾しました。
こうして8月21日、バラムーラから来た4人の愉快でフレンドリーな心温まる仲間たちと、デリーから来た1人のバイカーとともにダワールでキャンプをすることになり、夜は大騒ぎ!はっきり言って、カシミールの最高の夜の一つになりました!
彼らは家からマリネした肉を持ってきていたので、私は焼きたてのパンとチャイを買いに町へ出かけました。月明かりの下でバーベキューをし、歌い、睡魔に勝てずとうとう寝落ちするまで踊り続けました。
朝、チャイとパンを食べてからしばらく日光浴をしていると、彼らは親切にも帰り支度をしてくれました。そうして別れを惜しんでいると、もう1人のバイカーがキャンプ場に現れ、一緒に谷の奥地へと走ってみないかと誘ってきました。
以前から「なぜ一人で旅をするのか」という質問をよく受けたものですが、今ならば「実際には一人ということはないんだ」と答えたいです。
こうしてできた新しい友人は、スリナガル出身で40代後半ですが、まるでティーンのようにアグレッシブにバイクに乗ります。
また、彼の愛車Hero XPulse 200(インドのデュアルスポーツモーターサイクル)は、特にトレイルでは、私のHimalayan(インドのアドベンチャーツーリングバイク)を最高に引き立ててくれました。
トレイルを駆け抜けるのが大好きな彼のライディングスタイルを私も楽しみ、まるで始めからぴったり息の合う相棒のよう!一緒に同じペースで走ることができました。
道はというと、ダワールの先には道路がなく、埃っぽい古いトレイルがあるだけです。
優雅なキシェンガンガ川に沿って2時間ほど走り、軍の検問所や警察のバリケードをいくつも越えて、最後の村であるチャクワリ村に向かいました。
グレスで一番厄介なのは、パキスタン占領下のカシミール地方(POK)に近いため、立ち寄って詳細を記入しなければならない軍の駐屯地が多いことです。軍隊と何度も面接をし、プラーナ・ティレル、バドガム、マランガムを越えてどんどん奥へと進み、最後にバドアブで停車しました。
そこから最後のチャクワリ村までは車でわずか30分の距離でしたが、軍はそれ以上進ませることはできないとの決定を下しました。失望した私たちは引き返し、シェイク・ポラで一晩キャンプを張ることにしました。
(アドバイス:このトレイルは、チャクワリ村からカブールガリ村まで続き、スリナガル・レーハイウェイに繋がるドラスへと続いています。このルートを使うには、特別な許可と適切な連絡先も必要です。)
グレスはカシミール地方の最北端の谷で、世界からまるで隔離されているように見えます。地元の人たちにじっと見つめられたり、子どもたちは会話をしようと近づくと逃げ出したり、反対側を向いたりします。
人々が見つめてくるのは、外の世界をあまり見たことがないため、好奇心からでしょう。そして冬になれば、この谷はすべての道路が遮断され、他の地域とは隔絶されてしまいます。
翌日、私たちはもう一度泉に戻って水を補給した後、軍がバドアブから先は走らせてくれないというので、がっかりしながら街へ戻ることにしました。
そうしてこの土地と人々の美しさに感動した私は、一生忘れられない良い思い出だけを胸に秘め、グリーズを後にしました。
彼らにとってかなり異質な存在だったに違いありませんが、私にとっては今でもホームのように感じる素晴らしい旅でした。
以上です。簡単には足を踏み入れられない谷の奥地の清涼な空気と、親切な人たち、仲間たちとの出会い、澄み切った泉の冷たさまでもが伝わってくるようですね。このような旅をしてみたいものです。
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