コロナ禍で外に出られない日々がつづきます。それならいっそ家を出て、コロナから遠ざかってしまおうと、風の中へ飛び込んでいくバイク男子、バイク女子がたくさんいます。思い切ってこれからバイクデビューを考えている人も増えています。通勤・通学の脱三密の移動にバイクを使用する人が増えて、バイク市場が元気になっているという報道も。日経新聞、2020年6月11日「二輪市場に復調の兆し コロナ禍で脱・三密の移動に」
でも、バイクに乗るときの安全対策はマスト。
交通事故は少しのミスが大きな怪我につながります。緑の中で風を切る気持ちよさを思い切り楽しむために、スキルのレベルに関係なく、ベテランも初心者ももう一度安全にバイクに乗るためのマストポイントを確認しましょう。
しっかり対策して、ストレスのない最高のライディングを!
このページの目次
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いつもどんなときもフル装備。フルフェイスヘルメットと ギア(服装・装備)はマスト。
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耳鳴りは意外な盲点、耳栓で対策しよう。
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二輪車安全運転講習会を受けてみよう。
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バイクマナーに気をつけよう。
1. いつもどんなときもフル装備。フルフェイスヘルメットとギア(服装・装備)はマスト。
アメリカにはこんな言い方があります。
「ライダーは二種類しかいない。倒れたことがある人とこれから倒れる人だけだ」
事実ではないし、誇張のし過ぎかもしれません。とはいえ、誰しも事故の危険は常にあります。
統計を見てみましょう。
警視庁によると、令和元年中の交通事故による死者数は3215人で、そのうち二輪車(原動機付自転車を含む)乗車中の交通事故死者数は518人でした。全体の事故死亡者数の15,9%を占めています。
前年比16,8%減となり、三年連続減少傾向が続いていますが、それでも依然として亡くなる人は少なくありません。事故件数全体を見ると、同年、6万人超のバイカーが重軽症を負う事故が発生しています。
重症、死亡の原因となる損傷は、頭部、胸部、腹部に集中。
2019年の二輪事故死者のうち、事故時、約40%のバイカーのヘルメットが脱落していたとされています(警視庁調べ)。
被害を軽減するには、ヘルメットはマスト。
でもこのヘルメット、形は変化してきましたが、安全面からみると70年代からそれほど変わっていません。基本的にはEPS(つまり発泡スチロール!)を硬い素材で覆っているもの。
そのため、時速30キロ程度の早さで転倒し頭を打った場合でも、顔面や脳への衝撃は少なくなく、大事に至ることもあります。
ヘルメットをかぶることは当たり前ですが以下ご注意を!
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ヘルメットのあごひもをしっかりしめること。
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フルフェイスヘルメットをかぶること。
英語圏のバイク乗りにはこのようなモットーがあります。
ATGATT
「All the Gear, All the Time」~ いつもどんなときもフル装備で ~
いつも、どんなときでも革の上下やつなぎ、グローブ、ブーツ、胸部・腹部・肩・背中・腕のプロテクター、フルフェイスヘルメットなど全身を防護する安全装備は必ずつけること。これはマスト!
2. 耳鳴りは意外な盲点、耳栓で対策しよう。
頭から足のつま先までしっかりプロテクターで守っても、守り切れないところがあります。
それは耳。つまり、聴覚です。
一定の時間、エンジン音や風きり音などの爆音にさらされることで起こる聴覚障害は、バイク乗りによくある悩みの種。たとえ最高峰ヘルメットをかぶったとしてもそれは防げません。
時速100キロで走れば、聴覚は115デシベルかそれ以上の音にさらされます。15分も走らないうちに、聴覚がダメージを受ける可能性があります。耳鳴りが残る、聴力が低下する、ふらつきやめまいなどの症状を経験するライダーが少なくありません。
一般的にこれは「音響外傷」と呼ばれています。強力な音波によって内耳の蝸牛が障害を受け、難聴など聴覚の損傷が発生すること(ウィキペディア「音響外傷」)。大きな音になればなるほど短時間で難聴になるとされ、バイクのライディング以外では、コンサート、ディスコ、ヘッドフォンの使いすぎ、強大音曝露などが引き金になります。
その対策の一つが、耳栓をするという選択。
1994年以来、世界中のバイク愛好家たちからもっともリスペクトされているバイク情報ウェブに、Motorcycle.comがあります。ニュープロダクトが登場するたび編集スタッフが実地にパフォーマンステストを行い、レビューします。ユーザーは最新のバイク、部品、ギア、アクセサリーに関する必要な情報を入手することができます。
編集長エバンス・ブラスフィールドが選んだ耳栓が、EarPeaceでした。
エバンスは言います。
「いろいろ試してみたけれど、EarPeaceのクオリティとつけ心地の良さが圧倒的によかった」
飛ばしている最中は気持ちよくて気にならないものの、バイクを降りたあとに残りつづける耳鳴りや難聴は避けたいところ。
息の長いライディングライフを楽しむためにも、耳栓はマストアイテムです!
3. 二輪車安全運転講習会を受けてみよう。
毎年全国で6万件超の二輪車による事故が発生しています。ライダーはみな教習所で講習を受けて、正式に免許を取得しています。でも、実際の公道と講習所の敷地は、やはり違います。
例えば、ここ数年事故が増えている埼玉県のケース。
「昨年(2019年)埼玉県内における二輪車乗車中死者数の半数以上が、免許取得後10年を超えており、そのうち車種別では原動機付自転車(一種・二種)が8割、通行目的別では通勤(出勤、退社)が約5割を占めている。事故原因(法令違反)別では、「速度超過」「ハンドル操作不適」が最も多い」
二輪車新聞、2020年10月23日
バイクを新しく乗り換えたときやツーリングで不慣れな土地へ行ったとき、経験値を超える場面に出会い、事故にいたるケースも多発しています。
そこでおすすめなのが、全国で開催されている二輪車安全運転講習会に参加すること。
警視庁主催から、各バイクメーカーの主催、日本二輪車普及安全協会主催のグッドライダーミーティング(通称Gミーティング)、各地方自治体の警察署の安全運転講習会までさまざま。
一般向けのものから、ビギナー専用やレディース専用、シニア専用など細かく対象を分けた対応もあるため、誰でも不安なく受けられます。
主眼は「とにかくバイクに慣れること」と話すのは警視庁交通総務課の担当者。「ハイレベルだったりアクロバティックな技を身につけるためではありません。
ビギナーから上級者まで、基本をしっかり押さえて安全運転知識と運転技術の向上をめざします」
安全運転講習会を受けて自信がついた、という声がいたるところで聞かれます。
●警視庁:二輪車安全運転講習会
●日本二輪車普及安全協会:安全運転講習会
●ヤマハ発動機:安全運転講習会
上級者に向けておまけのインフォ。アメリカでは、オフロードバイクのトレーニングをすると、バイクの扱いが圧倒的にうまくなると言われ、「オフトレ」は一般ライダーに人気があります。何しろ、体験そのものが楽しい!試してみる価値あり。
4. バイクマナーに気をつけよう。
誰しも人のマナーは気になります。クルマを運転中に、すり抜けていくバイクがぶつかりそうになってヒヤリとするのは日常茶飯事。バイク製品製造会社ナップスが行ったアンケート調査によれば、86,2%のライダーが他のライダーのマナーを気にすると答えています。「ライダーの交通安全意識・運転マナーに関する実態調査2020」
許せないマナーの一位が「ながら運転(スマホ・飲食)」(57,2%)、二位が「ゴミのポイ捨て」(52,3%)、三位が「マフラーの排気音がうるさい」(51,7%)。以下「すり抜け走行」(これはマナーではなく違反行為ですが)、「車間距離が短い」、「人のバイクを触る」、「駐車違反」となっています。
マナーとは礼儀作法のこと。お互いが気持ちよく走るために、相手を思いやり、最終的には自分を守ることです。安全運転を心がけ、愛車のメンテナンスを怠らず、運転スキルを磨き、アルコール・薬物・極度の疲労などの影響下では絶対に乗らず、マナーに気をつければ、人からモテるステキなバイク乗りになっていくのも自然なこと。
安全運転で、カッコいいバイク乗りを目指しましょう!