職場に潜む難聴のリスク〜最終的に誰もが影響を受ける可能性があります
こんにちは!本日もおつかれさまです。
昨今、職場における難聴は年々増加しています。職場の騒音が原因の難聴を防ぐために、どのような対策が取られているのでしょうか。
アメリカの例になりますが、CDC(米国疾病管理予防センター)によると、労働人口の約12%が難聴の影響を受けていて、4件に1件は労働時に騒音に晒されることが原因としています。
労働者の安全を守るためのOSHA(米国労働安全衛生局)の基準は進化しているものの、肝心の労働者の多くは、労働時の騒音が聴力に与える影響については認識していないかもしれません。
特に、救急隊員や消防士のような強力なサイレンに晒される仕事の場合はなおさらです。
【騒音レベルの許容範囲とは?】
OSHAの基準では、職場で騒音に晒される際の許容範囲は、1日平均8時間の勤務中、平均85dBA(※dBA=騒音レベル)を超えてはならないとされています。また、騒音レベルが許容範囲を超えそうな場合には、聴覚保護プログラムを実施することが義務付けられています。
この騒音レベルについて詳しく説明すると、地下鉄や、1m以内の人との大声での会話は、既にOSHAが許容する閾値を超えています。救急車のサイレンは110〜129dB(デシベル)で、救急隊員と消防士の45%以上が、軽度から中等度の難聴を患っていると言われています。
OSHAは雇用主に対して、労働者に聴覚の安全を守る対策を施すことを義務付けていますが、それでも難聴が原因となる障害への労災請求には、毎年約2億4,200万ドルが費やされるとのことです。
また米国難聴協会は、米国で発生した難聴の約60%は、職場での騒音暴露が原因である可能性が高いと報告しています。
気の遠くなるような数字ですが、原因となるのはリスクの高い職場環境だけではありません。
【難聴は障害とみなされるのか?】
アメリカでは1990年に、職場での差別から身体的精神的障害者を守ること、そして皆が利用するサービスのアクセシビリティを向上させることを目的として、アメリカ障害者法(ADA)が制定されました。
しかし、ADAには聴覚障害者の権利を守るための明確な規定はあるのですが、アクセシビリティの定義そのものが、1990年以降大きく変化しています。
最近では、2020年に字幕に関して値上げを行なったZoom社が、ADAと州法に違反しているとして、米国連邦地方裁判所で提訴された例があります。
また、ADAの定義によると、全聾や部分的な聾以外の聴覚障害者に対しては、そのことによって生活の主な活動が制限されていることを証明できなければ、障害と認められません。
そのため、耳鳴りに悩まされ聴覚保護具が必要な場合や、補聴器や人工内耳を使用していることが、必ずしも考慮されないといった事実があります。
雇用機会均等法においては、労働者は既存の難聴を報告することが法的に義務付けられ、雇用主もまた障害を持つ新入社員に対して必要な便宜を図ることが義務付けられています。
2003年にCDCは、難聴者の生涯に渡る医療費総額の63~81%が、賃金の低下や職業上の不利益に関する間接的なコストであると予測していました。しかし、職場で騒音にさらされることに関する間接的なコストについては、予測がなされませんでした。
職場の騒音と健康との間の関連性を示す例として、2018年の研究(American Journal of Industrial Medicineに掲載)では、米国で日常的に高い騒音レベルにさらされている労働者の25%のうち、28%にコレステロール値の上昇が見られ、24%は高血圧と診断されています。
このように、職場での難聴と心不全や脳卒中の増加の間には関連性があることが見て取れます。
【オフィスでの難聴対策】
現在、世界中で25億人とも言われる難聴者が、治療を受けないまま難聴の症状を抱えていると言われています。
職場での難聴は、もはや製造業、建設業や航空業に限ったことではなく、最近の間仕切りを少なくしたオープンプランと呼ばれるオフィスでは、30dBAといった低レベルのバックグラウンドノイズでも、聴覚障害者にとってコミュニケーションが困難となる場合があります。
また、このようなオフィスでは、バックグラウンドノイズを遮るために多くの従業員がヘッドフォンを用いますが、このことでも問題が生じています。
90dBA以上の音量で1時間以上音楽を聴くと、聴覚障害を引き起こす可能性があります。けれども、多くはそれをはるかに上回る長い時間、ヘッドフォンを装着しているのです。
こうしたヘッドフォンの使用時間にも十分気を配る必要がありますが、今日では、ノイズキャンセリングの耳栓などの優れた聴覚保護具が幅広く展開されていて、周囲の音を低減しながらも互いにスムーズなコニュニケーションを行うことは可能です。
【難聴の影響について】
最近、世界保健機関(WHO)では、約7億件の難聴が予防できる可能性があると推定しています。
難聴によって、身体の健康を損なうだけでなく心の健康も損ないます。幸福感が薄れ、人間関係も希薄になりがちです。生活の質が低下し、仕事にも影響が出てしまいます。
このことから、最終的に難聴は私たち全員に影響を及ぼす可能性があるのです。これまで言われてきたような年齢や遺伝の問題というだけではなく、生活のあらゆる側面に潜む脅威とも言えます。
難聴に対し早くから行動を起こせば、よりクオリティの高い日常生活につながることでしょう!
それではまた!
騒音を低減しつつ会話はよく聞こえる耳栓EarPeaceはこちらです。